- ツーカーの仲
- ※若干のネタバレがあります。気づくか気づかない程度のネタバレですが…。
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- 「キジムナー!!!」
- ハヤトがキジムナーを喚ぶと手に火球がうまれる。
- それを見て、叫んだのは剛だ。ハヤトから猛然と距離をとりながら、必死の抗議にでる。
- 「ふざけんなよ、ハヤト! 俺を殺す気かっ!」
- 「あん? てめぇが邪魔ばっかりするのが悪いんだろうが!」
- 言うや、火球を剛に投げつける。剛はそれを何とか躱す。
- 「お前なあ! 人に火を向けちゃいけないって小学校で習っただろ!」
- 「そうだっけ?」
- 「そうだっつーの! 斎藤先生が言ってたのを俺はよーく憶えてるぞ!」
- 剛の言葉にハヤトは気のない顔で頷く。
- 「忘れた」
- 「忘れんじゃねぇよ! 人として大事なことだぞ、しっかり覚えておけっ!」
- 剛が指摘する。ハヤトはお構いなしにキジムナーを召喚して、ニヤリと笑った。
- 「んじゃあ、俺がキレたらどうなるか、お前こそ憶えてんだろうね」
- 「……いや~、よく存じてますって」
- 剛が冷や汗をかきながら後退する。
- 「小学生が一人で中学生複数相手に勝ったと聞いた日には、背筋が凍るかと思いましたよ」
- 「お前、あのとき、一人で逃げやがったよなあ」
- それを聞いて、今度は剛がハヤトを睨み付ける。
- 「ってか、お前が突っ込みすぎなんだよ! 俺は警察呼びに行っただけ!
- 勝ったまではいいけど、あのままだったら、やばかったんだぞ!」
- 「チッ」
- 「舌打ちすんなっ!」
- 「いいから、大人しく燃やされちまえ!」
- ハヤトは話は終わりだとばかりに火球を投げつける。剛はそれを避け、ペルセウスを召喚する。
- 「いい加減にしろよなぁ…! この俺を本気にさせて後悔すんなよ、ハヤト!」
- 「望むところだ!」
- 二人はお互いの使役する神をぶつけ合う。
- 「……あいつら、まだやんの?」
- 彼らを遠巻きに眺めていた神薙は、止むことのない戦いを見て、呆れたようにつぶやいた。
- ハヤトの下僕たちは、攻撃に巻き込まれてはたまらないと、がれきの山から観戦していた。
- 「止めたほうがいいのか…?」
- アギトの心配そうな言葉を聞いて、神薙は苦笑する。
- 「やめとけ、やめとけ。飽きたらやめるだろ」
- 「ハヤトも剛も手加減してるだろうしね。や~、本当に仲良いね、あの二人」
- ケンジがほがらかに笑って、神薙に同意する。十塚がちょっと戸惑った顔をした。
- 「仲良いのかな、あれって」
- 「仲良いでしょ?」
- 「なあ?」
- 神薙とケンジが顔を見合わせて頷く。こちらもこちらで非常に息が合っている。
- アギトは二人の戦いを見つめながら息をついた。
- 「そういう事なら、ハヤトもストレス発散できてちょうどよかったのかもな」
- その言葉に十塚が頷いた。
- 「そうだね、最近、様子がおかしかったから」
- 「あいつはさあ、俺様気質のくせして、変なところで気を使うんだよ」
- 神薙が眉をしかめて言う。
- 「しかも、俺たちが聞いたって、答えようとしねぇだろうし」
- 「ああ、それ、わかる」
- ケンジが苦笑する。
- 「俺たちの悩み事は聞いてくれるのに、自分の事はちっとも話さないよね」
- 「水くせぇヤツだよな~」
- 「ハヤトくんらしいけど、心配だよね」
- 「そうだな」
- 十塚とアギトもそれには同意する。
- その時だ。何かがぶつかってきて、がれきの山が揺れる。
- 「うおっ、な、何だ!」
- 「いてぇ~~!!!!!!」
- がれきを掻き分けて出てきたのは剛だった。
- あの勢いでぶつかってきて、生きているのはヴィンの力のおかけだろう。
- 「くそお、あいつ、手加減しろって……ん?」
- 剛はハヤトの下僕たちを見つけて、動きを止める。その顔がにやっと緩む。
- 「おいおい、きみたち、そんなところにいないで、リーダーを止めてくれない?」
- 「無理無理」
- 「そんな事ないだろっ……!!!」
- 剛が神薙の腕を掴み、ハヤトに向けて放り投げる。
- 「うあああああっ!!!」
- 「神薙、何してんだ」
- ハヤトの冷静な声と共に、突き出された右手によって、神薙の身体が地面にたたきつけられる。
- 「……ごふっ」
- 「か、神薙~~!!!!!!」
- ケンジの悲痛な声があたりに響く。
- 「さあて、今度は誰が人間爆弾になってくれるのかな…?」
- 剛が悪魔のように笑いながら、三人に迫ってくる。
- 悲痛な叫び声が複数聞こえたのは言うまでもなかった。
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- 【作者コメント】
- ある意味、ネタバレですが、まあ…ね。このくらいはいいかなと。
- GAKUEN-天獄は一応キャラゲーですが、テーマとしては「仲間」なので、
- みんなでワイワイしているのがしっくりきます。
- ってか、この人、総受けだよね、全くそうは見えないんですが。
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